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静かすぎる森の中に僕の声だけが響く。十数え、僕はシュウヘイを探しに歩き出した。
気がつくと、そこは祖母の家の客間で。僕は布団に寝かされていた。…裏山に、いたはずなのに。
ふと、誰かの気配を感じて縁側をみると、そこにシュウヘイが立っていた。
「見つけてくれて、ありがとうな。」
「あ…」
すべて、思いだした。
「…もう、行くの?」
「うん。父さんと母さんが待ってるから。じゃあな。」
「うん。…バイバイ。」
そうして、彼は行ってしまった。
後から聞いた話によると、夜になっても帰らない僕を両親が探しにきて。
そして、見つけたそうだ。
半分、白骨化した子供の遺体と、傍に座り込んで放心してる僕を。
遺体は、1年程前に誘拐された男の子で。『修平』という名前だった。
「楽しかったよ。じゃあね、おやすみ、シュウヘイ。」
秘密基地の前に、小さな花が咲いていた。
〈end〉
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