初恋

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ダンスは必ず男子が誘う。手を差し出して、お辞儀をして。こう言う。 「一緒に、踊っていただけますか?」 目の前に、あったかそうな大きな手。驚いて顔を上げると、いつも遠くに見ていた顔が真上にあって。 どうしよう、どうしよう、この手をとっていいのかしら? 「俺の事、嫌い?」 自信なさそうな小さな声と、困ったような怒ったような、泣き出しそうな…初めて見る表情で。顔、赤い。 「嫌いじゃなければ、一番に踊って欲しいんだけど。」 多分、私も同じような顔をしてる。けど。 「…ありがとう。」 震える手を、そっと重ねたら、大きな手が強く握ってくれた。 それからずっと、この手はつないだまま。 〈end〉
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