第壱劇

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『十戒僧白蓮日記より抜粋』 字の秘めたる力。 それは膨大なる創造の力。 もし字の意を具現出来たなら…… 「炎」はその意とする猛々しい紅き高温を生み出すだろう。 果たしてそのような事が有り得るのだろうか、否、有り得る。 この白蓮、臨終の際まで今日見た情景を忘れず。 後世の為、此処に綴る。 天下分け目の大戦。 現れし身体の五ヵ所に字を宿す金色の青年。 虚空に字を刻み、神力の如き摩訶不思議な力を使う。 刹那、そこに百の敵は跡形も無く。 我、ただただ驚愕するのみ。 我、のちに字人なる存在を知る。 金色を手掛かりに探すも、彼の者の姿を再び見ることは叶わず。
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