4人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
『十戒僧白蓮日記より抜粋』
字の秘めたる力。
それは膨大なる創造の力。
もし字の意を具現出来たなら……
「炎」はその意とする猛々しい紅き高温を生み出すだろう。
果たしてそのような事が有り得るのだろうか、否、有り得る。
この白蓮、臨終の際まで今日見た情景を忘れず。
後世の為、此処に綴る。
天下分け目の大戦。
現れし身体の五ヵ所に字を宿す金色の青年。
虚空に字を刻み、神力の如き摩訶不思議な力を使う。
刹那、そこに百の敵は跡形も無く。
我、ただただ驚愕するのみ。
我、のちに字人なる存在を知る。
金色を手掛かりに探すも、彼の者の姿を再び見ることは叶わず。
最初のコメントを投稿しよう!