第一章 日溜まりの中で

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第一章 日溜まりの中で

夏。世間は夏休みに入ったばかり。 「何で俺は入院してるんだろうか?ねぇ母さん。」 「あんた昨日寝てる時に喘息発作起こして運ばれたのよ。一時期心停止まで起こして母さん寿命が縮んだんだから。」 「ごめんね。」 檜山健太。小学校6年生。それが俺の名前。 産まれた時から喘息を患い、何回も発作を繰り返し、その度に入退院を繰り返していた。 「あーあ。サッカーしたいなぁ…」 「退院したらね。母さん買い物行ってくるけど、何か食べたい物ある?」 「カスタードクリームの載ったプリンのおっきいやつ。あと、ミルクティー!」 「はいはい。大人しく点滴してなさいよ。」 「へいへい。」 そう言って、母さんが出て行く。俺はベッドに横になり、青空を見つめた。 憎たらしい位に綺麗な空。 眠たくなってきたので、目を瞑った。 「暖けぇ…」 そういや小さい頃、日差しの当たる場所で母さんと一緒に昼寝したな。あんな感じの暖かさ。 そして、いつの間にか眠ってしまった。
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