第一章 日溜まりの中で

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「…くん、健太くん…」 体を揺さぶられ起きる。 「…?」 「もう朝ですよ。朝ご飯の時間です。」 「あ…はい…」 寝ぼけ眼でメガネを掛ける。 「今日は朝食の後に検査がありますからね。」 「はい。」 朝食の準備を終えて、メガネを掛けたお姉さん的な感じの看護師は去っていった。 「今日の味噌汁はわかめか…」 そんなどっかお父さんみたいな事を呟いて、味噌汁を啜る。 後少しで点滴が終わりそうだ。 ふと、隣の瞬ちゃんに目をやる。案の定、ピーマン入りのサラダは残している。 「ちゃんとピーマン食べなさいよ。大人になれないよ?」 「ピーマン嫌いだもん。」 そう言って、そっぽを向いた。 「まぁ俺にだって嫌いなものはあるけどさ…ごちそうさま。」 「お兄たんだってにんじん残してる!」 「お兄ちゃんは大人だからいいの。」 そう言いながら冷蔵庫に入ってるプリンを出す。あれ?二つあるじゃん。しかも小さいし。 瞬ちゃんにあげるか。
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