第十二章

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郁恵は目にいっぱい涙を溜めて、そして上着を羽織った。 「先生…私の事愛してくれてるんじゃなかったの?私は…先生の事しか愛せない!それでもダメなの?」 僕はそっぽを向いたまま答えた。 「ごめん…」 うわ~!と泣き声が聞こえた後、彼女は家を飛び出してしまった。 咄嗟に体が動いた。 自分が拒否しておきながら、追いかけたい衝動に駆られた。 しかし…それをしなかった。 いや、できなかったのだ。 僕はそのまま床に倒れてしまい…意識を失った。 次に気が付いた時、辺りは真っ暗闇だった。 まだ夜中なのか、時間がわからない。 頭が痛い。 僕は立ち上がって電気のスイッチを押した。 だが、真っ暗闇なままだった。 .
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