プロローグ

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私、加藤郁恵は6歳まで大阪の片田舎で育った。 市ではなく、郡。 周りにはたんぼと小さな山と、これまた小さな商店がぽつぽつとあり、そして… 私が通う事ができなかった児童数の少ない小学校がある。 それらが私や近所の子供達の遊び場だった。 私には7歳上の兄がいる。両親が共働きだった為、私の面倒は兄が見てくれていた。 そんな兄の事が大好きで、私はずっと兄について回っていた。 でも兄の方はどうだったんだろう… 同年代の友達と遊ぶ時もいつも私が一緒だし、何かあると怒られるのは私じゃなく、いつも兄。正直疎ましく思っていたんじゃないだろうか。 今となっては兄の気持ちを確認する術もないが、 もし兄が今もどこかで元気に暮らしていて、もしまた会えるなら… 聞いてみたいと思っている。 .
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