あいつ＋俺＝「 」

受難。

　
ああ、しまった。馬鹿宏規の発言を無視するために寝たフリをしているつもりだったのに。いつの間にか、本当に寝てしまっていた。それにしても…今は何時ごろなんだろうか。
俺は俯せていた顔を上げて、辺りを見回す。いつも掛けているはずの眼鏡がない。そういえば、眠るのに邪魔だからと取った覚えがある。
別に、視力が悪いわけではない。良いわけでもないが。度はあまり入っていないから、掛けていなくても問題はないけれど…掛けていないことに、とても違和感を感じてしまう。

「くそ、あいつら…起こしてくれたって良いのに、」

時計の針は５時を指していた。外は少し薄暗くなっている。全く…大体、俺が寝ているのに掃除はどうしたというのだろう。邪魔だったはずだ。もしかしたら、今日は掃除をしていないのかもしれない。
俺は立ち上がって荷物の整理を始めた。と言っても、特に何かを持ち帰るわけではないのだが。ああ、今日は体育があった。流石に、体操服くらいは持って帰らないとやばい。
一通り荷物の整理を終えて鞄を持ち上げると、不意に扉の開く音がした。忘れ物でもしたのだろうか？俺は音のした方向に目を向けた。