本気。

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「おい、近藤ー。呼ばれてるぞー」 またか。一体、今日で何度目なんだろう。最初こそ戸惑いはしたが、こう毎日呼び出しが続くとなると嫌でも慣れてしまう。 「隆二…なんでお前はそんなにもてるんだ?なんだ?イケメンだからか?頭が良いからか?運動できるからか?え?一体なんでなんだ!!」 「…ちょっと黙ってろ、てか俺がそんなこと知るか。聞くなら、告白してくる女の子たちに聞けっての。」 「うああムカつく!!イケメンでハイスペックのくせに!!イケメンでハイスペックのくせにいい!!!」 「……ゆう、この馬鹿どうにかしといて。俺、行ってくるから。」 「ん、わかったよー。いってらっしゃいー」 本当、ゆうがいてくれて良かった。そうじゃなかったら俺は今頃この馬鹿を殴り倒しているだろう。そう思いつつ、俺は椅子から立ち上がる。 時間は昼時。今は丁度、昼休みだ。この時間に教室に来て、俺に告白して行く女の子は多い。あまりにも数が多いから、流石に自覚するしかない。自分がもてると言うことを。…まるでナルシストになったみたいで、心底嫌なんだけど。 「お、来た来たー。廊下で待ってるってさ。てか、お前にあんな後輩がいたんだな…意外だわ。」 「後輩?女の子じゃなくて?」 「うん、珍しく男。…何、呼び出しっつったらイコール女の子になってきた?大変だな、もてるってのも。」 「うっせえよ、…とりあえず行ってみるか…」 「はい、行ってらー」 そう言ってそいつは俺に手を振ってきた。俺はそれに軽く返しつつ、教室を出る。後輩…が、俺に何の用なのだろう。あまり親しい後輩なんていないはずだ。思い付くとすれば、ゆう狙いの奴か、もしくは俺に彼女を盗られたなどとほざく奴。前者だった場合は問答無用で追い返す。後者だった場合は…知らねえ。俺は何もしていないんだから、逆恨みも良いところだ。 いろいろと考えを巡らせつつ、廊下を見回してみる。廊下にはたくさんの人間がいて、どこにも見知った後輩はいない。俺に恨みを持っていそうな奴も、俺が知っているゆうの追っかけも、見当たらない。もしかしたら、ただの悪戯だったのだろう。俺は溜息を吐きつつ、教室へ戻ろうとした。 その瞬間、右腕を捕まれる感覚。
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