45人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、近藤ー。呼ばれてるぞー」
またか。一体、今日で何度目なんだろう。最初こそ戸惑いはしたが、こう毎日呼び出しが続くとなると嫌でも慣れてしまう。
「隆二…なんでお前はそんなにもてるんだ?なんだ?イケメンだからか?頭が良いからか?運動できるからか?え?一体なんでなんだ!!」
「…ちょっと黙ってろ、てか俺がそんなこと知るか。聞くなら、告白してくる女の子たちに聞けっての。」
「うああムカつく!!イケメンでハイスペックのくせに!!イケメンでハイスペックのくせにいい!!!」
「……ゆう、この馬鹿どうにかしといて。俺、行ってくるから。」
「ん、わかったよー。いってらっしゃいー」
本当、ゆうがいてくれて良かった。そうじゃなかったら俺は今頃この馬鹿を殴り倒しているだろう。そう思いつつ、俺は椅子から立ち上がる。
時間は昼時。今は丁度、昼休みだ。この時間に教室に来て、俺に告白して行く女の子は多い。あまりにも数が多いから、流石に自覚するしかない。自分がもてると言うことを。…まるでナルシストになったみたいで、心底嫌なんだけど。
「お、来た来たー。廊下で待ってるってさ。てか、お前にあんな後輩がいたんだな…意外だわ。」
「後輩?女の子じゃなくて?」
「うん、珍しく男。…何、呼び出しっつったらイコール女の子になってきた?大変だな、もてるってのも。」
「うっせえよ、…とりあえず行ってみるか…」
「はい、行ってらー」
そう言ってそいつは俺に手を振ってきた。俺はそれに軽く返しつつ、教室を出る。後輩…が、俺に何の用なのだろう。あまり親しい後輩なんていないはずだ。思い付くとすれば、ゆう狙いの奴か、もしくは俺に彼女を盗られたなどとほざく奴。前者だった場合は問答無用で追い返す。後者だった場合は…知らねえ。俺は何もしていないんだから、逆恨みも良いところだ。
いろいろと考えを巡らせつつ、廊下を見回してみる。廊下にはたくさんの人間がいて、どこにも見知った後輩はいない。俺に恨みを持っていそうな奴も、俺が知っているゆうの追っかけも、見当たらない。もしかしたら、ただの悪戯だったのだろう。俺は溜息を吐きつつ、教室へ戻ろうとした。
その瞬間、右腕を捕まれる感覚。
最初のコメントを投稿しよう!