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「…今、何て」
「近藤先輩が好きです、好きなんです!だから付き合ってください!!」
「冗談だよな…」
「違います、俺、本気です!だから俺と…」
「待て、とりあえず待て。お前、何言ってんだ?近藤先輩って、別の近藤先輩じゃないのか?」
「いや、近藤先輩は近藤先輩です。俺の目の前にいる、貴方のことです。」
「…………」
なんだ、これ。
なんで、告白されてるんだ。男から。ていうか、なんでそんな大きい声で告白するんだ。周りの人間が固まってるじゃないか。ああ、もう。教室の中まで聞こえているんだろう。
「…ごめん、俺…男とはちょっと…」
「俺、諦めませんからね。何回だってここに来ます。先輩が振り向いてくれるまで、たくさん、たくさん、告白しますから!」
そう言い残して、金髪は帰っていった。いや、本当になんだったんだ。
廊下にいる人間からの視線が痛い。…どうして、俺がこんな目に合わなきゃいけないんだろう。
一人で悩みながら教室に戻ると、クラスメイトが若干哀れんだように俺を見つめてきた。やめろ。そんな目で俺を見るな…。
溜め息を吐きつつ自分の席に座ると、机に影ができる。…宏規とゆうだ。
「りゅーうーじー!!お前今告白されてただろ!なんか髪の毛黄色い子に!」
「うるさい黙れ消えろ。何しに出てきた」
「ちょ…なんでそんなに冷たいんだよ…!」
「…りゅう、大丈夫?」
「ああ、ゆう…ちょっと大丈夫じゃないかも」
「だからなんでそんなに態度が違うんですか!俺とゆうとで!」
相変わらず、この馬鹿はうるさい。そしてめんどくさい。
でも、会話を続けていると先程の告白のことがなんだかどうでもよく思えてきた。…まあ、そういうところは感謝してやろう。
「いやー、しかしなかなかやるなあの金髪くん。俺は応援するぞ、あの子を!全力で応援して、そんでもってお前とあの子をくっつけてやる!」
…前言撤回だ。有り得ない。
やっぱり消えろ、馬鹿宏規。
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