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いつもなら華麗に着地できるのだがバランスを崩した状態ではどうにもならない。
落ちる…と思い、目を瞑った。
「…っ」
予想とは違い、落ちた感覚はあっても痛みが無かった。
疑問を抱きながらそっと目を開ける。
「…?」
団服がミニスカートのせいで寒い足が少し暖かった。
寒空の中コートも着ずに来て冷えていた背中も暖かい。
ライラは先に着地したアレンに抱きかかえられていた。
…いわゆるお姫様だっこ、というやつである。
「…ぇ、何っ…」
動揺を隠しきれずに、そのまま口から漏れる。
「身長あるのに軽くて驚きました」
アレンはいつも通り笑う。
「!!」
逆にライラは少し頬を紅潮させ、いつもの落ち着いた様子からは想像できない表情になっていた。
「…もうお世辞はいらないからね」
アレンが降ろす体制に入ると、降ろされるより先にひらっと腕から逃れ、しっかり着地した。
お世辞じゃないのに…と言いたげな顔を横目に、ライラは汽車の中へ入っていった。
(…あの時と同じでも、アレン、だな)
そんな風に思いながら。
※ライラさんの意味不発言はそのうち番外編書くはずです …たぶん
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