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神奈川県、横浜の有名な遊園地に彼女ときた。辺りは暗くなり、ぼんやりと街灯が光っている。雪が降っていて、街灯の光でさえも温かく見える。大きい観覧車にある時計は既に20時を示していた。
「観覧車、綺麗」
隣の彼女は観覧車に見とれている。
――そうだ。
あれは雪がチラチラと降っていた冬の日。
そう今日みたいに、寒くて雪が降っていて楽しかった高二の冬。
「慶也」
彼女の手には温かい珈琲。いつの間に買ったんだろうか。
「……ありがとう」
彼女は優しくて、いつも笑顔で一緒にいると落ち着く。俺の居場所。
彼女も、同じ気持ちでいるらしい。
……だから、僕たちは結婚することに決めた。
「ねぇ慶也」
「ん?」
「好きだよ」
「ああ……俺も」
ゆっくりと目を閉じたことを確認して、彼女の唇に自分の唇を合わせる。
―― 嗚呼、そうだ。
高二の、冬にこうして……キミと――
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