序章 戦争の始まり

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U.G.33 05/28 11:13 ■「アーカレッド北軍港」 一台の車は海岸沿いを右に左にくねくねとカーブしながら進んでいく。 天候は晴れ。 見渡す限り、雲のない空域ばかりだ。 そんなキラキラ光った世界に、サングラスをかけた彼の視界には、黒く澱んだ世界しか見えていないのかもしれない。 事実、フリーカメラマンの彼はそうなのかもしれない。 南アフリカ大陸、内紛激化指定地区、中央アジア。 どこも第三次世界大戦で主戦場になった場所や、その影響で戦いが続いているところだ。 何百枚も何千枚も写真を取ってきたが、大戦のそれとあまり変わりはない。 どのフレームもまるで一緒で、同じ場所、時間、人をそのまま写したような…結局何も変わってはいないのだ。 人はこれからも戦争と戦争の狭間で生きていく。 それはまた兵器が無くならない理由なのかもしれない。 だから戦闘機があって、パイロットがいて彼がいる。 狭い道がある地点で一気に開けた。 道路の質も急によくなった。 そして海が一面に広がる左手を覗くと、巨大な鉄の塊が浮いている。 初めて見るか、または何も知らない人間が見たら、かなり驚くことは間違いない。 その大きさと迫力とに誰もが圧倒されることは必然だ。
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