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これから話す物語は僕の生きる人生の中で非常に大きな意味を持つ。最大の転機だと言っても過言じゃない。
もし僕にこんな“異能(ちから)”がなければ―――
もし彼女と出会わなければ―――
もし僕が行動しなければ―――
つき詰めていくとキリがないけど、この内のどれかが欠けていてもああはならなかったに違いない。
僕らの日常は幾通りもの選択肢から成り立っている。
選ぶ先にある未来は常に可変で、それでいて不変である。同じ未来などない、選択肢1つで180度変わる世界・パラレルワールドというヤツだ。けれどもそれは僕の周囲の状況のみに言えることだけであって、遠く離れた異国の地にまで作用するほど僕はビッグじゃない。
結果から言えばたまたま“幸運にも”そのルートを選べただけに違いない。未来なんてそんなものだろう。
僕は元来、神様や占い、運命など非科学的なことは基本的には信じない。それは元からそういう性格だからかもしれないし、未来を強制的に変える能力を持っているからかもしれない。
けれども、これだけは僕も運命なんだと信じてる。僕の能力が、まるで彼女と出会うためのものであったんじゃないか…と思うくらいに。僕がこの能力を授かった瞬間から定められていた未来だったのかもしれない。今なら非科学的も信じられる。
それほどまでに……僕は、彼女―――古河白雪と出会えたことを僕は心から感謝している。神がいるならお礼を言いたい。
これから話すのは、孤独で孤高で冷酷で冷淡で――異能に囚われた少女・古河白雪と、地味で陰鬱で“フラグ・ブレイカー”の力を持つ主人公の僕こと結ヶ崎悠(ゆいがさき はるか)の馴れ初めの―――出会いにして最悪であり最高の物語である。
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