flag 1:フラグ・ブレイカーと囚われの逃亡者《プリンセス》Ⅰ

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「うぇっ……」  自宅付近から電車を乗り継ぎ、学校の最寄り駅からの道を歩く僕。吐き気が未だ僕を苦しめる。いや、おいしかったんだけれども。  全く……母さんと姉さんには勝てる気がしないな。どのような面においても。  基本的にツッコミ体質の僕にとって、ボケを連発するあの2人は僕の天敵だ。母さんに至っては素な気もするけど。  第一、2人に“異能”がある時点で僕の位など最下層まで落ち込んでいるんだろう。  2人ともレベル4の異能者だし……一般人の僕じゃ勝てはしない。  尤も――僕の“能力”を使えば2人のヤンデレによって殺されることはないだろうけれど。  あぁ、レベル4っていうのは異能の強さのランクで、レベル1から5まであるのだ。  レベル1がほとんど役に立たない異能。聞いた話では、手を使わずに風船を膨らます能力とからしい。手品みたいなものだろう。  レベル2が日常生活で役に立つが戦闘には向かない程度。まぁ一般人よりも若干強い程度だろう。  で、レベル3とレベル4が戦闘向きの能力。炎を顕現したり、サイコキネシスを使えたり。レベル3よりもレベル4の方が能力が高いことを示してる。ここまでくると、もはや一般人じゃかなわないだろうな。  そして――レベル5。世界でも数十人もいないんじゃないだろうか。能力、熟練度からして最強レベルの異能者。まさに次元が違う――らしい。実際に見たことはないから何とも言えないが。  僕ん家は姉1人に両親の4人家族なわけだけど、我が家の女性は2人ともレベル4というわけだ。まぁレベル5には届かないわけだけど、ここら一帯では最も強い部類にはいるだろうね。          テレポーテーション  ちなみに母さんは“空間移動”の異能使いだ。朝、突然僕の後ろに現れたのはその異能を使ったから。  姉さんの異能は――機会があったらわかるだろう。  それにしても、神様もおかしなことをしてくれたものだ。65年前、僕が産まれるずっと前に世の中の女性をヤンデレな異能者にしてくれやがった。  生きていた女性全員、そして産まれてくる女児全員が異能の力を持っている。  これは100年ほど前じゃ考えられなかったことだ。実際、そのころから科学はほとんど進歩してないし。変化したのは異能者が産まれたことくらいだろう。  おかげで世界はずっと平和になったわけだが、ヤンデレのおまけはいらなかった。
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