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足の裏に地面を感じながら陸をけり、踏み、進んでいく。
朝は好き。
静かな空間と私たちしかいないという開放感がとてつもなく大好き。
母さんは言う。
「次の主人はとてもお金持ちそうだよ。食べ物も前よりいいものが出るといいね」
たぶん母さんは知っている。奴隷にはいい生活、いい食べ物なんて無縁なんだってことを。
でもあたしとラルクを勇気づけるためにかけた言葉なんだろう。
「そうだね。私、母さんとラルクと一緒に過ごせれば幸せ。食べ物がよくなくても服がボロボロでも母さんやラルクがいない生活は耐えられない」
母さんは少し照れたようにそっぽをむいて「この子はいきなりなにを言うんだろうね」とこもった声で言った。
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