白魔学園

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「誰がお前と抱擁なんかするか!気持ちわりぃんだよ」 ジルヴァはギールの態度に呆れながら文句を散らす。 「き、気持ち悪い!?……それ猛烈にショックなんだけど」 よほど気持ち悪いと言われたのがショックなのか広げていた両腕がだらんと放置され、涙目になっている。 「さっさと案内しやがれおっさん」 ジルヴァはお構いなしに言う‘おっさん’という言葉にギールは更にショックをうける。 そしてショックを隠しきれない表情で渋々、ジルヴァを校舎内へと案内する。 校舎内に入ったジルヴァはギールの後ろを歩きながら周囲を観察していた。 まだ早朝という事もあり、生徒はまだ来ておらず校舎内はとても静かで、ジルヴァとギールの足音が校舎内の壁に反響し、響く。 「仕事の方はどう?」 ショックから立ち直ったギールが不意にジルヴァに声をかける。 「んー、特に困る事も何もないぜ?親父の会社を継いでもう五年は経つからな。それなりには上手くやってると思う」 ジルヴァの父が行方不明になったのは七年前。 ジルヴァは十歳の子供だったがそれなりには魔法が使えた。 勿論、彼の父が教えたのだが、ジルヴァは魔法に関しての才能があったのかどんどん成長していく途中だった。 彼の父は偉大な魔術師で名も顔も広い。必然的にその息子のジルヴァも周りから期待されていた為、有名になる事を余儀なくされていた。 彼も魔法は好きだったので、自分の好きなように覚えていた。
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