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「えっと……それは……」
わたしの決めた事に、お姉さんはどうしてか困った顔で慌てだした。
でも、わたしの決心は固い! 目標が出来て、何だかやる気が出てきた!
「よーし、明日から……いや、今日から頑張るぞぉ!」
沈んでいく夕日に向かって叫んだ。
※※※
私は机に置かれたアルバムを撫でた。
結局、あのお姉さんの名前を聞くのを忘れてしまった。
「フフッ……」
子供の頃に決めた事を今だに引きずっているなんて、あのお姉さんが聞いたら責任感じるかな?
あのお姉さんに出会わなければ、きっと私は武道を辞めていたと思う。武道を辞めた自分が想像出来なくて、思わず苦笑が漏れる。
でも、
「今だに彼氏無し、か……」
私に勝った人と付き合うなんて、我ながら冗談みたいな条件ね。でも、今更その条件を覆す訳にはいかない。
今まで私に挑み、私が倒してきた人達の想いが込められたこの条件は、もう私の意志だけでは変えられない。
「姉貴、もう時間だぜ」
後ろから雅人に声を掛けられたから時計を見ると、もう家を出ないといけない時間だった。
今日は一年生の入学式がある。あんなに私と同じ高校に行くのを渋っていた雅人の入学式でもある。
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