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ブンブンと空中で何度も何度も回転しながら、あやめに突き飛ばされた隊員は風に吹かれた木の葉の様に吹っ飛ばされた。
その光景に他の隊員達は目を見張るが、隊長だけは無線機に向かって冷静に指示を出す。
「……今だ、放て」
『了解』
無線機から応答があると、すぐにバンッと何かが破裂する様な爆音が辺りに響く。
それを合図に、隊員達は一斉にあやめから離れる。
すると、あやめの上から直径十メートル以上の網が降ってきて、あやめに覆い被さった。
普段のあやめなら絶対に引っ掛からない方法だが、酔っ払って判断力の低下した今だから引っ掛かってしまった。
「撃てッ!!」
隊長の号令に、実弾ではなく麻酔弾を小銃に装填していた隊員が、一斉にあやめに向かって引き金を引いた。
小銃から吐き出される無数の弾があやめに襲い掛かる。
それら全ての弾があやめに当たった。
「や…やった!」
勝利を確信した隊員達。
だが、当たったと思った弾は全て、あやめの皮膚に届く直前に阻まれていた。
あやめから発せられる光り輝く気によって……。
「ば…か…な……!」
目の当たりにした光景が信じられず、隊員達は誰一人動けなかった。
「……邪魔するんですか?」
ゾッ
その声に、隊員全員が戦慄した。それ程冷たい声色だった。
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