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自分に覆い被さっている網に指を掛け、あやめは一斉にその網を引き裂いた。
「馬鹿なッ!? 炭素繊維配合の網だ! 象どころか鯨にだって千切れない網だぞッ!!」
ここに来て、遂に隊長さえあやめを恐れ始めた。
網から抜け出したあやめが一歩、隊員達に近付く。気のせいか、地面が少し揺れた気がした。
※※※
バスで学校に帰る途中、高速道路のサービスエリアでトイレ休憩をしていると、ヘリコプターのモーター音が近付いて来ている事に気付いた。
「……あれ?」
上空に見えたヘリコプターを見ていると、それがどんどんとこちらに向かって来ているのが分かった。
何事だとサービスエリアにいる人達も近付いてくるヘリコプターを見ている中、そのヘリコプターは結局駐車場の空いているスペースに降りてしまった。
「何だ何だ?」
「何かあったのか?」
「事件? あれって自衛隊のヘリだろ?」
周りの人達が様々な事を言い合っている。
僕も含めたみんなが注目する中、ヘリコプターのドアがスライドして一人の男性が降りて来た。
「オ…オイ、あいつって……!?」
「どうしてこんなトコに?」
その人物を見てみんなが驚くけど、僕はみんなとは少しだけ違う意味で驚く。
「た…谷さんッ!?」
思わずそう叫んでしまった僕を、周りのみんなが驚いた顔で見て来た。
「山岡、お前総理大臣と知り合いなのかッ!?」
サッカー部員の一人が聞いてくる。
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