第三話 キスミーテンダー

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※※※ 「ヨイショ」 声だけ聞けば可愛らしいと思う掛け声の後に金属がひしゃげる耳障りな騒音が響き、総重量40tを越える戦車が次々とひっくり返されていく。それこそ、枕をひっくり返す様に簡単にひっくり返されていた。 「ば…化け物だッ!!」 本体の下にある非常口から抜け出したアメリカ兵が逃げ出す直前、そう叫んだ。 しかし、それが不用意な言葉だった。 「あっ、花も恥らう乙女に酷い事言うんだー!」 そんな些細な言葉をあやめは聞き逃さず、アメリカ兵の前に回り込んだ。当のアメリカ兵にとって、そのスピードは瞬間移動に等しい速さだった。 「『ああああ』は逃げ出した。しかし、回り込まれてしまった」 アメリカ兵の逃げ道を塞いだあやめが、恐ろしく無表情?無感情に告げる。 「シットッ!!」 破れかぶれになったアメリカ兵が腰の拳銃を抜き、あやめに向かって発砲した。 しかし、戦車の砲撃にさえ傷付かなかったあやめに対して、それはあまりに頼りない一発だった。 チュインッ 結果、アメリカ兵の放った弾丸はあやめに当たる直前、輝く壁に弾かれてしまった。 「近代兵器が効かない……と言うのかッ!?」 歯噛みするアメリカ兵に、手をかざしながらあやめがゆっくりと近付く。 しかし、必殺のアイアンクローがアメリカ兵に炸裂する直前、 「質の違いよ」 若い……まだ少女と言える声があやめの背後からした。
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