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そんなあやめの姿を見て、雅人はガリガリと頭を掻く。
「……酔いが回り過ぎて俺達が誰だかも認識出来てないぜ。コリゃ、甘酒やウイスキーボンボンなんてレベルじゃないな」
雅人がそう判断を下す。
「厄介ね。竜也が来るまで抑えられればいいけど」
すでに本気モードになっている桔梗がため息をつく。そんな姿も画になる程、今の桔梗は可憐な容姿だった。
その時、桔梗や雅人の後ろに控えていた咲が、手にしていた一本の包丁の切っ先を地面に向けた。
「桔梗様、雅人さん。下がってください」
そう言うと同時に包丁から手を離した。
「いきなりですか!?」
咲の行動の意味を知っている雅人と桔梗がすぐにあやめから離れる。
あやめだけが何もせず、ただそこに立っていた。
「突き刺さり……」
咲の手から離れた包丁は地面に刺さる事なく、水面に落とした様に地面の中に消えてしまった。
「抉り取り……」
咲の背後の空間から、夥しい数の包丁が現れる。
「咀嚼(※そしゃく)せよ……」
咲の背後に現れた夥しい数の包丁……およそ数万と思われる数の包丁の切っ先があやめに向けられた。
「『夢幻包丁』」
咲の掛け声に反応した様に、数万の包丁の刃が伸びて一斉にあやめに襲い掛かった。
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