第一話 幼き頃の道標

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「じゃあ、私は先に行ってるね」 鞄を持って玄関に向かう。 生徒会長はやることが沢山あるから忙しい。 「オウ。俺ももうちょいしたら竜也と一緒に行くわ」 学校指定の革靴を履く私を雅人が見送ってくれる。 「竜也君って、いつも雅人が話している友達だよね」 「そうだけど」 「……何か武道でもしてる?」 冗談っぽく笑う私に、雅人は肩をすくめて首を振った。 「全然。運動神経は悪くないけど、武道なんてやるタイプじゃねぇよ」 「そっか……」 そう言いながら玄関を開けると、春の日差しが照り付けてきた。 さ、今日も一日頑張りましょう。こんなにいい天気なんだもの、きっといい事が起こるわよ。
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