第二話 王女の責務と己の性〈サガ〉

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※※※ 人間に国がある様に、妖怪にも幾つかの国がある。 主に同族で構成されるその国は独自の掟を作り、互いに不干渉を決め、或いは争ってきた。 その国の中でも強国と名高い国があった。神にも等しいと言われる妖力を持つ、『神華』という名の妖狐が率いる国……だった。 妖力の個体差が激しく、個人主義の狐の性質を色濃く残した妖狐を率いるには、圧倒的な力とカリスマ性が必要になる。そのふたつを備えた神華の元には多くの妖狐が集まり、いつしか最強とまで言われる国になっていた。 しかし、最強といえども常勝無敗という訳ではない。他の国と無駄ないざこざを起こせば結託されてしまう。 そこで神華はある掟を作り、他の妖狐に徹底させた。 『他国不干渉の掟』 しかしある時、掟を作った神華が姿を消してしまう。 これを好機と見た妖狐達は一斉に国を離れ、今までの鬱憤を晴らすかの様に悪事を働き始めた。 国の恥は神華の恥と考えた一部の妖狐は、直ちに同族を引き戻す為に奔走する事になった。 そして、力の強い妖狐が多数逃げた人間界を担当する事になったのが、神華の後を継いで王女となった『仙華』だった。
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