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そんな雅人の闘志を感じ取ったのか、あやめが右手に気を集める。
「いくわよ」
あやめの警告に雅人がニッと笑う。
「……こいやぁッ!」
あやめの右掌が雅人の胸部に触れた。
ッッッ
鈍い……本当に鈍い音だった。まるで人の耳が聞く事を拒絶する様な音。
そんなあやめの発勁をまともに喰らった雅人だったが、まだ闘志の炎は消えない。それどころか、再び右拳をあやめに向かって振るった。
その拳は、発勁を放った直後で硬直中のあやめの左頬を奇跡的に捉える事に成功した。
雅人の体重はミドル級ながら、ヘビー級相手でも一発KOが出来る程強烈な右ストレートだったが……あやめの頬を微かに赤くしただけだった。
それも、あやめの超速回復によって瞬時に回復されてしまう。
「……我が姉ながら、ずっちー体質だな」
軽口を叩きながらも、雅人は次に備えて身構える。
あやめが足元から腰、背中、腕の順に螺旋を描きながら気を右手に集める。
そして、
「螺旋発勁」
螺旋を描く発勁を雅人の身体に放った。
「ガ……ッ!!」
ただの発勁とは、別次元の威力である『螺旋発勁』。
誰が見ても、これで終わりだと思った。
しかし、雅人は倒れなかった。
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