第二話 王女の責務と己の性〈サガ〉

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言葉の節目節目に胸を寄せ、胸の谷間にいる歌花を押し潰す。 「く……苦しいですの……こ…これでも頑張ってますの……」 仙華の胸に圧迫されながら、歌花が必死に弁解をする。 「儂を千年もウロウロさせといて、お主は何故そんなに強気なんじゃ」 「王華の妖気が弱すぎてハッキリとは分からないですの。随分と弱っている感じですの」 「弱った者が千年も生きて入られるか!?」 「あややー! あややー!」 歌花を苛めながらも、仙華は嫌な予感がしていた。 王華は一時期仙華の部下だった事もあり、王華の強さは分かっている。 王華の尻尾の数は5本。仙華の尻尾の数も6本。油断をすれば勝負は分からない差でしかない。 ※※※ 仙華は周から東に位置するこの国に渡り、この狭い国を歌花とずっと探しているが、どうしても見付けられなかった。 王華が巧妙に自らの妖気を隠しているという事もあるが、それ以外にもこの国全体を覆う妖気が歌花や仙華の探知を邪魔しているのが大きな要因でもあった。 その妖気は仙華を上回る力だけど、どこか仙華には懐かしい気配でもある。 (まさかな……) 自分の考えを否定しながら、仙華は続く山道を低空で飛んでいった。
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