4852人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
鉄パイプや木刀を持った連中が襲い掛かるが、神成に届く前にバイクに武器を弾かれ、次の瞬間には神成の振り回すバイクに撥ねられてしまう。
神成を取り囲む人数は百人以上いるが、何人いようが神成に近付く事も出来なかった。
「ヒ…ヒイ……」
神成の振り回すバイクの迫力に尻餅を付き、そのまま逃げようとする奴に向け、神成は担いでいたバイクを放り投げた。
「グエェッ!」
カエルみたいな悲鳴を上げてバイクに押し潰される。
「今だッ! バイクを離したぞッ!!」
チャンスとばかりに手ぶらになった神成に連中は一斉に襲い掛かるが、神成は慌てず騒がず地面に転がっていた連中の一人の足首を掴んで同じ様に振り回し始めた。
いや、中型バイクより軽いせいか、振り回すスピードは確実に速くなっている。
後は同じ事の繰り返しだった。近付けば振り回す凶器に跳ね飛ばされ、逃げれば凶器を投げ付けられる。当然、その場に立っているだけで竜巻の様な神成の振り回しに巻き込まれた。
完全なる『詰み』の状況に連中から泣き言が漏れる。
「な…何で俺達がこんな目に合うんだよッ!」
あまりに理不尽な暴力に曝され、我が物顔で夜の街を暴走していた連中が情けなく泣き叫ぶ。
それを聞いた神成が、手にした凶器(十台目のバイク)を投げ捨て、
「お前達に……明日を生きる資格はねぇ」
何処かの世紀末救世主みたいな台詞をはいた。
最初のコメントを投稿しよう!