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百人以上いた暴走族達の四分の三以上を神成が殲滅した所で、一人の男が仲間を掻き分けて姿を現した。その手にはオモチャとは思えない、重厚そうなボウガンが握られている。
そのボウガンに気付いたのか、その男に用があったのか……とにかく神成はその男と対峙した。
「ヘヘヘ、遠くからこいつで狙えば楽勝だっての」
神成の振り回すバイクや人間の射程外から攻撃出来る事にその男は余裕を見せる。
その男は神成よりは小さいが、一般的には大きいと言われる身長をしていて、不健康そうに痩せてマッチ棒の様に見える。澱んで腐った様な目……神成が最も嫌いな目付きをしていた。
「……飯塚武人だな」
質問というより確認の為といった感じで、神成が男の名前を聞く。
「あ? 何で俺の名前を知ってんだよ」
ボウガンを向けて飯塚は神成を威嚇するが、神成はそのボウガンが見えていない様に平然としていた。
「……約一ヶ月前の夕方、お前は第三公園付近で女の子を車で拉致した後、乱暴したな」
「……は?」
「間違いないな?」
そう言って飯塚を睨み付ける神成だったが、飯塚は最初ポカンとした後、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべた。
「さぁ、そんな事しょっちゅうしてるからワカンネ」
「……そうか」
飯塚の返した答えに、神成の目が座る。
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