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※※※
そして、わたしの試合の番になった。
試合場であのお姉さんと向き合う。
みんながわたしを見ている。誰かが「どっちが強いんだろう?」って話しているけど、わたしの方が強いに決まってる。
「始めッ!」
審判の人が合図をした瞬間、お姉さんに向かって突進して右正拳突きを放つ。
これで終わ……。
つまんない試合が終わると思ったわたしの身体が、後ろに向かって吹っ飛んだ。
床を転がって、仰向けに倒れた。
…………あれ?
天井が高い。
胸が痛い。
ライトが眩しい。
息が苦しい。
今のは……技?
立てない。
色んな事が頭に浮かんできた。
「不用意に仕掛けすぎよ」
お姉さんの声がする。
起き上がろうとしたけど、うまく身体が動かない。
「1……2……3……4……」
審判の人がカウントを言っている。これが10になる前に立たないと負けちゃう!
床に手を付いて起き上がろうとしたけど、腕に力が入らなくて肘が曲がっちゃう。
「5……6……7……8……」
数字がどんどん大きくなってる。
「あ…ああッ!」
身体全部を使って、何とか立ち上がる。
危なかった……。
「まだ出来るか?」
「ダイジョブ!」
審判の人に答える。
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