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「クリスマスも近いから、彼氏探しも忙しくって」
わざとらしくさくらがため息をつく。
「それで授業中に居眠りしてたの?」
「へへ、まーね」
あやめの小言にさくらは悪びれもせず、舌を出す。その仕草で全て許してしまいそうな愛嬌がさくらにはある。
「あやめって彼氏いるんだっけ?」
由美が突然そんな事を聞いてきた。
「えッ!?」
特別隠していた訳ではないけど、大々的に話した訳でもない。それでも当たり前の様に聞かれたのであやめは驚いてしまった。
「そう言えば、あやめの彼氏の話って聞いた事無かったわね」
さくらの口ぶりから、二人共あやめの彼氏の存在は知っていた様だ。
「どんな人? 年上? 学生? 社会人?」
興味津々と言った様子でさくらはテーブルに身を乗り出す。
何も言わないだけで、由美もあやめの事を凝視しているので興味は深そうだった。
「えっと、学生……かな?」
さくらの言う学生とは「大学生なのか?」と言う意味だと思うので、あやめは若干言いよどむ。そもそも、この手の話題はあやめの苦手とする話だった。
「えー! この大学にいるの?」
予想通りの勘違いをしたさくらに、あやめは首を振って否定する。
「高校時の……後輩なの」
「後輩? 高校生?」
由美が目を見開くと、あやめは黙って頷いた。
「あーあー……まっ、世話好きのあやめには年下ってのも有りかもね」
妙に納得した様にさくらが何度も頷く。
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