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「世話好き……かな?」
自分では一度も思った事がないその言葉にあやめは首を傾げた。
「世話好きよ。何だかんだで色々私達を助けてくれるし」
改めて由美が言ったけど、やはりあやめピンと来ない。『世話好き』と言えば、甲斐甲斐しく竜也の世話を焼いている咲を思い浮かべるからだった。
「ねぇねぇ、どっちから告白したの?」
益々身を乗り出してくるさくらに、あやめは困った様に苦笑した。
「まぁ、お互いに……かな」
あやめは卒業式での一件を思い起こす。
ちなみに、この二人はあやめが『何らかの格闘技を子供の頃からやっている』と言う認識しかしていない。この大学の格闘サークルの連中が全員で束になってかかって来ても、あやめなら小指一本で倒せるとは夢にも思っていないだろう。
「でも、年下の高校生と付き合うって大変でしょ? あやめはスタイルもいいし」
由美は本気でそう思っていた。さくらのそれに同意する様に頷く。
しかし、あやめは再び竜也と同居している人を思い浮かべた。
瑠璃だった。
あやめも胸は小さくはないが、瑠璃と比べれば一歩も二歩も劣る。
「……スタイル……いいのかな?」
やはりピンと来ないあやめの呟きに、さくらと由美も目が細められた。
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