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「そりゃ、男子高校生の性欲なんてホントバカみたい……って、もしかしてあやめって……」
さくらが信じられないと言った様子であやめを見てきた。
その視線の意味が何となく分かったので、あやめは分かるか分からないかギリギリの頷きを返した。
「あんたまだ処……!」
さくらが『その単語』を叫ぶ直前、文字通り音より速くあやめの手がさくらの口を押抑えた。
「声が大きい!」
顔を真っ赤にして文句を言うあやめに、さくらは口を抑えられながら何度も頷いた。
その様子を見てあやめはようやくさくらの口から手を離した。
「……ッハ! あやめ、あんたメチャクチャ速く動いたね」
「ホントホント。やっぱり武道をやってると違うね」
わざとらしく大きく息を付くさくらに、由美が続ける。
実際はそんな次元の速さではなかったが、あやめの動きが見えなかった二人にはその程度の認識でしかなかった。
「まぁ、それはいいとして……何? あやめの彼氏って何もして来ないの?」
さくらの質問にあやめは俯かせていた顔を上げる。
「て…手は握ってくれるわよ」
あやめの言葉に、さくらも由美も「はぁ~」とため息を付いて背もたれに寄り掛かる。
「……小学生?」
「高校生!」
呆れたみたいに呟く由美に、あやめは訂正を入れる。
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