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結果、あやめはそのコンプレックスによって、竜也に対して積極的になれなくなっていた。
そのコンプレックスに何となくでも気付けたのが彼氏である竜也ではなく、十年以上も一緒に住んでいる弟の雅人だったのは哀しい皮肉とも言えた。
「積極的……か」
テーブルに頬杖を付いて、あやめは誰に言うでもなく呟いた。
この二人のすれ違いが、日本……いや、世界を震撼させる出来事を巻き起こす事を……まだ誰も知る由も無かった。
※※※
今日のデートプランは完璧だ!
その自信を持って迎えた当日でしたが、早速その自信にヒビが入り始めた。
海外でナントカという賞を取ったフランス映画にあやめさんを案内して、監督や主演の俳優のウンチクを話しながら開始を待つ。
これはあの雑誌に書いてあった『彼女のタイプ別フローチャート』で調べた結果、『文学お姉様系』のあやめさんが好きな映画と出ていた。
だから、事前に調べた映画内容やウンチクを暗記して、あやめさんに説明していた。
「あ、そうなんだ」
「……?」
不思議そうな顔で相槌を打ってくるあやめさんから受ける違和感に、僕は内心首を傾げてしまう。
そのまま映画は始まったんですが……開始十分で途方もない眠気が襲って来ました。
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