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その時、僕達が座る席の隣に、一組の男女が座った。
「やっぱり俺の予想通り、順調に順位が上がってきたな」
「ウーム、このまま打ち切りコースになると思ったんだけどのー」
「いやいや、オサレ師匠なら隊長達を出せば順位が上がるなんて知っていただろう」
「オサレだけではどうにもならない順位まで落ちたと思ったんだけどのー」
そんな会話をしているカップル……って言うかこの声は、
「雅人に……桔梗さんッ!?」
隣の席に座ったのは、革のジャケットにジーンズ姿の雅人と、黒いワンピースを着た桔梗さんだった。
「お」
「竜也じゃないかのー」
向こうも僕に呼ばれて、初めてこちらに気付いたみたいだった。
「何やってんだ……ってのは不粋な質問か」
僕に気付いたと言う事は、当然向かいに座るあやめさんにも気付いたと言う事だ。
「雅人と桔梗さんは? まさかデー……」
「違うのー。近くでわたしらが好きな声優のコンサートがあったから一緒に行っただけだのー」
僕の言葉を遮る様に、桔梗さんが割り込んできた。
「コンサート? 日曜日とはいえ、こんな昼間から?」
「ま、昼と夜の二部構成みたいだな」
僕の疑問に答えながら雅人がチラリとあやめさんの方を伺うと、ピクッと眉が動いた。
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