第三話 キスミーテンダー

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あやめから見て、どう見てもボクシングで優勝出来る身体をしていなかったからだ。 (竜也くん、今何してるのかな?) ボンヤリと竜也の事を想う。竜也からのデートの誘いを断ってまでこの合コンに参加したのだが、あやめは早くも帰りたくなっていた。 そんな時、不意にアルコールの匂いがあやめの鼻を衝いた。場所がチェーン店の居酒屋とはいえ、その匂いは強過ぎた。 「さくらッ!?」 隣の席のさくらを見ると、いつの間にかオレンジ色のカクテルを飲んでいた。 「何飲んでるのッ!?」 「ん? カシスオレンジだけど、あやめも飲む?」 当たり前の顔で聞いてくるさくらにあやめは絶句してしまう。 「わ…私達まだ未成年だよ!」 「はぁ? 何お固い事言ってんの。合コンでお酒を飲まないなんてあり得ないでしょ」 「そうそう。ウーロン茶で楽しく話せないわよ」 「由美まで……!」 味方がいない事に戸惑っていると、さくらがわざとらしく肩をすくめる。 「そんな固い事言ってるから彼氏と上手くいかないんじゃない?」 「ッ!」 何気ないさくらの一言に、あやめは激しいショックを受けた。 「さくら、言い過ぎ」 由美にたしなめられ、さくらも僅かに申し訳なさそうな顔をした。
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