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あやめから見て、どう見てもボクシングで優勝出来る身体をしていなかったからだ。
(竜也くん、今何してるのかな?)
ボンヤリと竜也の事を想う。竜也からのデートの誘いを断ってまでこの合コンに参加したのだが、あやめは早くも帰りたくなっていた。
そんな時、不意にアルコールの匂いがあやめの鼻を衝いた。場所がチェーン店の居酒屋とはいえ、その匂いは強過ぎた。
「さくらッ!?」
隣の席のさくらを見ると、いつの間にかオレンジ色のカクテルを飲んでいた。
「何飲んでるのッ!?」
「ん? カシスオレンジだけど、あやめも飲む?」
当たり前の顔で聞いてくるさくらにあやめは絶句してしまう。
「わ…私達まだ未成年だよ!」
「はぁ? 何お固い事言ってんの。合コンでお酒を飲まないなんてあり得ないでしょ」
「そうそう。ウーロン茶で楽しく話せないわよ」
「由美まで……!」
味方がいない事に戸惑っていると、さくらがわざとらしく肩をすくめる。
「そんな固い事言ってるから彼氏と上手くいかないんじゃない?」
「ッ!」
何気ないさくらの一言に、あやめは激しいショックを受けた。
「さくら、言い過ぎ」
由美にたしなめられ、さくらも僅かに申し訳なさそうな顔をした。
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