4853人が本棚に入れています
本棚に追加
※※※
お姉さんと二人で帰る途中、今までの悩みを思い切って打ち明けてみた。
「戦う相手がいない、か……。確かに大和館長にも勝ったあやめちゃんには切実な問題だよね」
「切実?」
「あ、ごめん。困った問題だよね」
お姉さんは真剣に考えてくれている。
「お姉さんは……」
「ん?」
「お姉さんは何で武道をやっているんですか?」
そこにお姉さんの強さの秘密がある気がする。
「あたし? あたしは……」
ちょっと困ったみたいな顔で笑いながら、お姉さんは頬っぺたを掻いた。
「あたしは、幼なじみが凄く……多分世界で一番ついてないから、一緒にいてあげるにはあたしも強くないといけないんだ」
そう言ったお姉さんの顔は、リンゴみたいに真っ赤になっていた。
その顔を見たらピンときた。
「お姉さん、その人の事好きなんだ」
「えッ!? ち…違うよ! ただの幼なじみで……!」
慌てるお姉さんの顔がますます赤くなる。
「好きな人の為か……」
まだわたしには好きな人がいないから、お姉さんの気持ちはよく分からない。
でも、
「……お姉さん、わたし決めた!」
「ど…どうしたの?」
驚いた顔でお姉さんがわたしを見た。
「わたしもお姉さんみたいに武道を頑張る! それで、それでもわたしより強い男の子がいたら、その子と結婚するんだ!!」
最初のコメントを投稿しよう!