第三話 キスミーテンダー

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「…………あなたに…………」 「あ?」 ポツリと呟いたあやめに、男が怪訝そうに眉を歪めた。 あやめの手に握られていたグラスがカタカタと鳴り出す。 「あなたに…………竜也くんの何が分かるっていうのッ!?」 あやめが叫んだ瞬間、グラスが壊れた。 割れるとか砕けるとか、そんな生易しい壊れではない。ひとつひとつが砂粒の大きさに分解されたのだった。 ※※※ 都内のアニメショップにいた雅人と桔梗が同時に何かに気付き、互いに顔を見合わせた。 「桔梗」 「ええ。とんでもない事になったわね」 いつの間にか、桔梗の姿が美少女になっていた。 ※※※ 瑠璃や千鶴が食べた食器を洗っていた咲がその手を止めた。 丁度その時、瑠璃がリビングに顔を出す。 「咲ちゃ~ん。今のもしかしてぇ」 「………」 咲は何も言わず、洗っていた皿を食器受けの中に置いた。 ※※※ とある事務所で書類整理をしていた一人の女性が立ち上がった。 「あやめちゃん!?」 ※※※ 帰る準備をしていたサッカー部のメンバーの中、竜也だけが気付いた。 「……あやめさん!」
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