第三話 キスミーテンダー

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※※※ 「総理! 都内にある居酒屋『黒木屋』から巨大なエネルギー反応!」 部下からの報告に、総理と呼ばれた男は組んだ手で口元を隠した。 その背後に控えていた白髪の初老の男がため息混じりに呟く。 「第四の暴走……最強のチャラ男拒絶タイプか」 「ああ。現時刻を持ってコード・ムーンプリンセスを目標と認識する! 大至急神成……コード・KAMINARIと連絡を取りなさい!」 「しかし、神成氏は現在ブラジルで誘拐された邦人の救出に向かっています!」 部下にそう報告された総理は、黙って椅子から立ち上がった。 「夏目、少し頼む」 「谷、どうするつもりだ?」 その場から離れようとする谷総理に、夏目が声を掛ける。 「第三のコードネーム候補を呼んでくる」 肩越しに振り返り、再び歩き出した。 「仮のコードネーム、コード・ドラゴン……山岡竜也君をな」 「……分かった」 立ち去る谷総理を見送った後、夏目は部下に支持を出す。 「政府より各省庁に通達! 超法規的措置を用いて市民の避難を最優先! 少しでもいい、時間を稼げ!」 「「はいッ!」」 部下達の返事が重なった。
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