4852人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
そのヘリコプターから数本のロープが垂らされ、次々と自衛隊員が降下してきた。
だが、あやめはそちらに見向きもしない。何度も何度も竜也の名前を呼び続ける。
「目標確認ッ!」
数十人の隊員が手にしていた89式小銃を一斉にあやめに向ける。
「………………撃てッ!!」
数瞬の躊躇の後、隊長らしき男が隊員達に命令をした。
一斉に火を吹く小銃。
しかし次の瞬間、あやめの姿が消失した。
「ど…何処に行ったッ!?」
辺りを見回す隊員。
その時、一人の隊員が何者かに突然肩を抱かれた。
驚いて顔を向けると、如月あやめに肩を抱かれていた。
「如月……あやめッ!?」
驚く隊員にあやめは満面の笑みを向ける。
「竜也くんが何処にいるか知りませんか?」
「竜也くん?」
ブリーフィングの時に聞いた事にある名前に、隊員は戸惑いを見せる。
しかし、あやめはそんな隊員を無視して勝手に話を続ける。
「竜也くんって私の彼氏なんですけど、とっても優しくって強くって……嫌だ、何言わせるんですか!」
頬に手を当てて身体をクネクネしたかと思えば、突然その隊員の肩を突き飛ばす。
本人はただの照れ隠しなのだろうが、隊員にとってはキングコングにぶん殴られた様なものだった。
最初のコメントを投稿しよう!