第三話 キスミーテンダー

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そのヘリコプターから数本のロープが垂らされ、次々と自衛隊員が降下してきた。 だが、あやめはそちらに見向きもしない。何度も何度も竜也の名前を呼び続ける。 「目標確認ッ!」 数十人の隊員が手にしていた89式小銃を一斉にあやめに向ける。 「………………撃てッ!!」 数瞬の躊躇の後、隊長らしき男が隊員達に命令をした。 一斉に火を吹く小銃。 しかし次の瞬間、あやめの姿が消失した。 「ど…何処に行ったッ!?」 辺りを見回す隊員。 その時、一人の隊員が何者かに突然肩を抱かれた。 驚いて顔を向けると、如月あやめに肩を抱かれていた。 「如月……あやめッ!?」 驚く隊員にあやめは満面の笑みを向ける。 「竜也くんが何処にいるか知りませんか?」 「竜也くん?」 ブリーフィングの時に聞いた事にある名前に、隊員は戸惑いを見せる。 しかし、あやめはそんな隊員を無視して勝手に話を続ける。 「竜也くんって私の彼氏なんですけど、とっても優しくって強くって……嫌だ、何言わせるんですか!」 頬に手を当てて身体をクネクネしたかと思えば、突然その隊員の肩を突き飛ばす。 本人はただの照れ隠しなのだろうが、隊員にとってはキングコングにぶん殴られた様なものだった。
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