そのにー

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そのにー

「おいチビ」  生徒達が部活や帰宅と、各々の理由で教室を出ていく中、俺はソイツに声をかける。 「どしたのデカ?」  二人の女生徒と雑談していたその女は、話をやめ振り返った。 「今日俺居残りくらったから、先帰ってろ」  隣で聞いていた女生徒達が軽く冷やかすが、そんなのはいつものこと。気にすることはない。 「もう! 宿題くらいちゃんとやんないとダメでしょッ! 私も居残りだけどッ!!」 「…………」  ちなみにコイツの方が居残り回数が多い。  そして今日俺が宿題を出せなかったのは、昨日このチビ女が家に来て夜遅くまで居座っていたから集中して宿題に取り組めなかったからだ。  呆れて、少し離れた自分の席に向かう。視界の隅でチビが手を振っているのが見えた。
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