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瀬田涼子は胸騒ぎががした。
時計は23時20分頃だったが一成に電話をかけた。
プルルルル…
「もしもし?母さんどうしたの?何かあった?」
思ったよりも早く電話を取った息子は自分以上に心配そうに言った。
「あぁ一成。遅くにごめんねぇ。」
「いや、かまわねぇけど、何かあったの?」
一成はまだ不安そうな声をしている。
涼子は少し申し訳なくなった。
「いやね、今胸騒ぎがしてね、ちょっと心配になったから電話してみたんだよ。」
「何だよ。俺なら大丈夫だよ。母さんこそ、いつもこんな時間まで起きてるの?」
「明日は土曜で休みだからね、いつもはもう寝てる時間だよ。」
「あぁ明日土曜だっけ。」
「あんた、最近は休んでいるのかい?」
「まぁそれなりに休みは貰えてるよ。」
一成は嘘をついた。
「そうかい。良かった。今日はもう寝るだけかい?」
「あぁ、そうだよ。明日も早いしもう切るよ。母さんももう寝なよ。」
「そうだね。声を聞けて安心したし。じゃ体に気を付けて頑張るんだよ。」
「あぁ。じゃあね。」
涼子は「頑張れ」と言ったことを後悔した。息子は十分頑張ってるじゃないか。
「体に気を付けてね」と言えば良かった。
一成は帰宅し、ポケットから携帯を出した瞬間に母親からの電話を取った。
コンビニで温めてもらった弁当が冷めちまう。
早く部屋着に着替えたい。
母を早く安心させて、飯を食いたかった。
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