第一曲。『TAXI』

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煌めくネオン街を通り過ぎ 少し路地に入ると 洒落たバーが建ち並ぶ。 俺は待ち合わせしたバーへと入る。 ――カラン… 少し周りを見渡して、あいつを探すと カウンターで一人の女性を見付けた。 少し足早になり、その女性の元へ歩み寄る。 『何、先に呑んでるの?』 「ユチョンが来るの遅いからだよ」 もう、酔いが回っているのか 顔が少し赤らめている。 手にはアルコールが強い酒が入ったグラス。 『お前、最初から飛ばしすぎ。』 そういって、彼女からグラスを奪い 酒を一気に飲み干した。 「んもーっ!あたしのお酒…」 『こんな酒呑んで…。大して酒に強い訳じゃないだろ?』 「いいの…今日は、何もかも忘れるくらい酔いたいから…」 彼女は顔を曇らせ、また酒を頼む。 俺は直感でわかった。 『今日は…よっぽどジェジュンとひどい喧嘩したみたいだね。』 唐突な俺の問いに 彼女は一瞬目を見開いた。 「…ユチョンは何でもお見通しだなあ…」 そういうと細い肩が震え出した。 声を殺して彼女は泣いている。 だけど、俺は抱きしめてやることができなかった。 なぜなら彼女は ―ジェジュンの女― だから……
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