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その一人の為に校門を見つめ続けて10分程経っただろうか?見覚えのある茶色い傘と共に、待ちに待った彼の姿があたしの瞳に写る。
それはあたしの幼なじみでありこの学校の王子様、内田 天幸(あまゆき)。
クッキリ二重にスッと通った鼻筋。形の良い唇、悪戯に上がった口角。絹糸のように美しい栗色の髪。ルックスだけじゃなく頭脳明晰、運動神経抜群と天に二物も三物も与えられた人、それがてんちゃん。
「あまゆき」なのになんでてんちゃん?
それはね、あたしだけの呼び名。みんなは知らないあたしだけの秘密なの。
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