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初恋
僕の初恋は高校三年生の春である。
高校二年生までを、多少男の子っぽい性格とはいえ、普通に女子として生きていた僕が、初めて恋をした。
相手は同じクラスになった女の子だった。
「ん?何で女の子なんだ?」確かに疑問は感じた。けれど気持ちは抑えられなかった。
可愛くて賢くて、清楚で控えめな彼女に僕は一目で恋に落ちた。
留保も試行錯誤も入る余地すらない一直線の想い。迷いは全くなかった。彼女の笑顔に逢えるなら千キロの道のりだってペダルを漕いだんじゃないかと思う程の激しい恋心。
多分、その時に僕の心は女子から、女性ではないけれど男性でもない中途半端な位置にシフトしたのだろう。
一日おきの交換日記では足りなくて、毎日毎日長い手紙を書き綴った。
毎日貰う手紙を穴があくほど繰り返し繰り返し読み続けた。
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