放浪人生

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放浪人生

僕は高校卒業とほぼ同時に家を出た。 とにかく母親から離れる事、家族のしがらみから逃れること、それだけしか考えてなかった。 安いアパートでの不自由な生活でも、自由は何物にも代え難かった。 そして21歳。 僕は家族の地元、僕の青春時代が詰まった地元を離れる。 そう、初恋の彼女が結婚した年である。 こうして僕の放浪人生がスタートした。 ブラブラしていた訳ではない。ちゃんと大手の家電メーカーに正社員として入社し、寮に入って真面目に働いた。 いくつかの恋もした。 相手は全て女の子だった。 その時々で、真剣に恋をし、真剣に愛したけれど、心のどこかでブレーキをかけていた事は否めない。 二度とあんな痛みを味わいたくないと言う気持ちが、無意識に働いていたのだと思う。
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