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40の坂
40を境にして、僕の生き方はかなり様相を変える。
過敏性大腸症候群と言う病気に罹患した事はあったが、二年半で治癒してから、病気とは無縁に生きてきた。
僕は基本的に、春の熊みたいに元気なのである。
その元気が40を境に過去形になる。
先ず発症したのがうつ病。落ち込むとか暗いとかそういう変化はなかった。けれど体がおかしい。訳もなく吐き気に苦しんだり、安静時に動悸がしたりひどい頭痛に悩まされたり、症状は多岐に及び、通院する事になる。しかし、どれだけ検査をしてみても、どこにも異常はないのである。それでもやっぱり何かがおかしい。
そして初めて精神科の門をくぐる。
色々なテストと検査を繰り返し、告げられた病名は「うつ病」
人といる時は、いつもハイテンションで笑いの絶えない僕が「うつ病」?
けれど、抗うつ剤を服用してみると、少しずつ症状が治まるのである。
認めない訳にはいかない。
確かに、僕には他人に対して頑張ってしまう傾向がある。
小学校の転校で身につけた明るくお調子者の八方美人的な性格。
けれど、僕の根底には、世間に怯え母に怯えた気の小さい内向的性質があるのだと思う。
結局僕は、自分の弱い部分を巧妙に隠して、新しい仮面をつけることで、自分の弱さと向き合う事なく逃げていたのだろう。
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