40の坂

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そう、僕の心の癖、それは逃げるという事なのだ。 小さい頃からそうだったのだと、うつ病を発症して気付かされた。 母の虐待から逃げるために、真面目な優等生になり、仲間外れから逃れる為には人から見える印象さえ変えた。 失恋の痛手から逃げるために、心にブレーキを付けた。 ストレスから逃げる為に転職を繰り返した。 きっと、そのツケがうつ病と言う形を取って回ってきたのだと思う。 そして、その事に気付いた僕は、小学校で手に入れた、新しい自分と言う殻を少しずつ脱ぎ始める。 殻を脱ぐことで、僕はどんどん外の世界に対して無防備になり、不安は増しうつ病も悪化して行く事になる。 次に襲ってきたのが、糖尿病。普通一型糖尿病と言うのは、子供の時に発症するらしいが、僕の場合は何故か40過ぎてからの発症だった。そして入院。インスリン治療が始まった。 もちろん一型糖尿病にはインスリンは不可欠なもので、死ぬまで治る事はない。 そして、子宮頸部ガン。幸い転移もなく、初期での発見だったため、手術を受けて、今まで再発も転移もなく生きている。
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