たからもの。

2/2
前へ
/62ページ
次へ
「水谷さんのところの双子ちゃん、男の子と女の子が逆だったらよかったのにね」 「まぁ、可愛らしい女の子ね……えっ、こっちが男の子なの?!」 「お前!本当は男だろ!間違えて生まれてきちゃったな、お前ら!」  ――そんなこと、言われなくたってあたしが一番わかってる。  だって、こんなに可愛い男の子見たこと無いもん。  守ってあげたいって、みんなに思われるの、わかるもん。  『可愛いね』っていつも言われるのは、双子の弟。  女のあたしじゃない。    きっと、神様が間違えちゃったんだよ。  本当は、あたしが男で生まれるべきだったんだ。  だけど、あたしは弟のこと嫌いじゃないよ。 「ルナ、大好き」  そう言って天使の笑顔を見せてくれる星(セイ)。  絶対に嫌いになんてならない。 「あたしも大好きよ、セイ」  大好きなあたしの片割れ。  大切なあたしのたからもの。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加