呼び出し

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―――キーンコーンカーンコーン。 「…起立、礼」 『ありがとうございましたっ』 ザワザワ。 「おい、ゆう。今日も図書室行くのか?」 「うん。これ食べたら行く。今日は5時間目体育だから早く帰ってこないと間に合わないな。」 「おう、気をつけろよ。あの先生は結構しつこそうだし。」 「うん。ありがとう。」 声をかけてきたのは一人の少年。 茶色く血色のいい肌、短く刈った真黒な髪の毛、細めの目からは溌剌とした瞳が覗いている。 170㎝位の身体には無駄な肉は一切付いていない。 そんな痩躯の身体からはやんちゃ坊主のような落ち着かない雰囲気を纏っていた。 それに対して、答えた方は落ち着いた雰囲気を纏っていた。 170㎝にぎりぎり届くか届かないかの細い身体。 小さい顔を包む艶のある漆黒の髪の毛。 切れ長の両の目からは、全てを受け入れるかような優しい眼差しを覗かせていた。 これがこの物語の主人公、日向優衣である。 「俺顧問のところいってくるわ。」 「わかった。じゃ、またあとで。」 そういって、優衣に軽く手を振り教室を出ていった少年、はじめに優衣に声をかけた少年は山本陽次、優衣の親友である。  
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