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闘気を剣に溜め込み、投げるように思い切り振り抜く。
「うぉら!」
放たれた闘気は輝きを増し、三日月のように形状が変化する。
それが轟音を引き連れて、勢い良く魔族の前線に飛び込むと、強靭な魔族の体が粉々に砕け散った。
――よし、タイミングはドンピシャだ。
前線から後方にかけて、およそ十メートル以内にいた魔族はほぼ即死だな。
「どうだ、初めて見る技だろ? だが、ここからが本領発揮だ!」
俺は、思わず声が出た。
俺の攻撃を合図に、他の兵士たちも全力で闘気を放つ。
「そりゃあ!! 闘気は魔防壁じゃ防げないだろ!」
「くらえっ!! この日のために鍛えた技だ!」
次々と魔族の断末魔の叫び声が聞こえてくる。だが……進行は緩んだものの、止まりはしない。
家々はすでに魔族によって押し潰されてしまった。
辺りには砂ぼこりが立ち込めている。
くそっ。わかってはいたが……やりきれないな。
俺は痛心を抑えて、兵士たちに檄を飛ばした。
「貴様ら、ここで手を抜いたら一気に飲まれるぞ!」
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